医院長のつれづれ日記

『不登校 段階によって対応は違う』

『不登校 段階によって対応は違う』というお題目の会が「つながるいと」さん主催で行われたので行ってきました!
つながるいと 
https://ito.tunagatter.com/は子育て・教育・不登校・行き渋り・学校について、気軽に話せる親の会です。中野区で毎月1回開催しています。今回はゲストに教育研究家の古山明男さんをお招きして、不登校の対応についてお話しして頂くというので興味津々で参りました。

古山明男さんは 2006年に変えよう!日本の学校システム(平凡社)という本を書かれていまして、千葉県でフリースクールなどの運営をされております。古山教育研究所:https://www.asahi-net.or.jp/~ru2a-frym/
会でお話になったことをまとめる前に皆さんに共有したい知識として下に書いてあるポリヴェーガル(poly vagal)理論というのがあります。古山さんが書かれたものがありますので 貼っておきます。
https://beans-n.com/column/polyvagal/

ポリヴェーガル(poly vagal)はvagalはvagusを語源するところで、vagusは迷走神経を意味します。それにpolyが接頭語につくということで迷走神経が多数あるといった意味になります。多数と言っても今わかっているのは副交感神経が背側と腹側で 作用機序が違いざっくりと言えば、腹側がリラックスに作用背側が例えば内臓以外の血流をシャットダウンし生命を維持するために働く、といったところのようです。
古山先生は学校へ行けない、朝になって下痢・腹痛・朝起きられないといった症状があるのであれば不登校でありゆっくり休ませる必要があると何度もおっしゃっていました。
そのときに使用したプリントそのまま写しておきます
不登校は 「甘え」「わがまま」ではない 古山教育研究所 2023年1月
不登校になり、その理由がはっきりしない子を「甘え」「わがまま」と判断するのは間違いです。 学校生活の辛さによる不登校には、次のような特徴があります。
・無表情・無反応である。
   表情がない。 呼びかけても反応しない。会話が成り立たない。
   「甘え、わががま」であれば、親にわかってほしいことがあるので、感情も意思も表してくる。
・ゲームしかしない
   通常であれば、一日中ゲームしかしないということはない。
   学校や将来のことを話題にされるだけで辛くて閉ざす
・学校に行こうとすると、朝起きられない。腹痛、頭痛、下痢などの身体症状がある。
   午後になると症状が消えるので、仮病と思われがちだが、症状は現実である。
・自分の状態を説明できない
   自分でも学校に行けない理由がわからない。ぽろぽろと学校の出来事を云うこともあるが、どうしてその程度で学校に行けないか親にも理解できない。 
・人に会うことを極端に嫌がる 
   外出を嫌がる。人と会うことを嫌がる。特に同級生と担任を避ける。

以上にうち3つ当てはまるものがあったら、不登校に特有な自律神経の不調を考えてください。
 「ポリヴェーガル理論」という最新の神経性医学が、不登校に特有の子供たちの状態を、うまく説明してくれます。人間も含めて動物は、逃げるもならず、戦うもならずという状況に追いつめられると、仮死状態になってしまいます。不登校は仮死状態に近いのです。これは電気のブレーカーが落ちたようなものです。
 必要なのは休養です。 学校に行かないことを非難されなくなり、ちゃんと休養できれば。必ず回復します。回復にはどうしても数か月から年単位の時間がかかりますが、しかし、そのまま ずっと引きこもりになったりはしません。
  


 プリントを傍らに見ながら、古山さんのお話
不登校の特徴は 原因がわからない 本人が 原因を言えない 親に同調してしまうので何を言っても「うん」と答えてしまう。 例えば親が「明日学校へ行くよね?」と聞くと「うん」というので親は 昨日の晩、行くって言ったのに起きてこない、翌朝動けないというような状態になってしまう。が、これは先ほどのポリヴェーガル理論で、死にそうな状態なので同調しているだけである。 
じぶんの体が仮死状態になっているので、逃げ切れない、戦えないというときになる反応である。
わがままや甘えの時には 親に声をかけられたら反応する。 「うっせえくそばばあ」は元気。不登校は、このような返事はしない。むすっとして反応しない。 
不登校の頭痛、下痢、起立性調節障害は午後になったら良くなる。
無理に学校に連れていかれるとチック顔面蒼白 足が震えるなどがある。
学校に行った時の様子は例えると青菜に塩の状態である。
甘やかしは、友人に対して叩く。またはあれ買ってこれ買ってと次から次に要求を親が認めてしまう状態。
不登校はじぶんの状況は説明できない。 人と会うことを嫌がるし、同級生と会いたくない。 外に行って「いやー ○○ちゃん学校どうしたの?」と言われるのが恐怖。
学校で活発なコミュニケーションがない。口ごたえをしない子である。顔色語調はよく見るようにした方がいい。

親の教育に対する認識は 義務教育は嫌がる子をむるしてでも行かせるものというように思っていることが多い。どんなに苦しくても学校へ行くものだという考えに洗脳されている。そして 訴えることができない子が9/1に自死をしてしまったりする。 

子供の本来のニーズは「遊ばせろ」
決まった方式はない。その子にあった方法で、ある程度こんな段階というのはある。
引きこもりより小中学生の不登校は易しい。休ませていれば行くようになる
一番大事なのは初めのうちは まず休ませる

表の説明
1 行き渋り 
様子は不安定 何かを抱えているような感じ 葛藤している 行かなければいけないことは理解している 子供は追いつめられているので何か意見を言いたくなったら翌朝にする。
2不登校になる
無表情無反応、朝起きられない。聞いても理由がわからない 言われていることが正しいということがわかっているので 暴言暴行が多い。追いつめられているからともいえる。ゆっくり休めと 安全を保障してあげる。十分に休ませるのは本当に難しい。
3安定してくると引きこもり休養期間が必要 目いっぱい頑張ってしまったので休むことが必要 ケアとコミュニケーションで温かくしてあげる。話は通じない
4退屈する
引きこもってゲームばっかりしていたあとに、暇だ退屈だと言ってくる時期がやってくる。この時期に 本当の意味での友人ができると良い。人間的な相性がいい人と出会うことがあればよい。 
習い事は子供が楽しんでよろこんでやるものがよい。本格的にできるように指導するところより緩くやってくれるところが良い。
5自主的に生きる練習
人は自分の天職にたどり着いたときに幸せである。お金がいっぱいなくとも食べていけるお金があれば幸せを感じることができる。成績優秀でも自分が何をやっているか、わからなくなってしまうことがある。偏差値や成績では何がしたいかわからない。どういうことに自分が向くか、ということをモンテッソリや、シュタイナー教育を行っているところだと 評定しないで 点数を離れてポートフォリオを作成する学校もある。家庭でもできる。本人がやりたがることを見つける。子供が 言われなくてもやりたがることを見つける。学習行動をほっといてもやるのが子供。なぜかその子がやりたがることを掘り出すのが良い。小さい時から やりたがることがある。
運動タイプ: 状況の対応力がある。 おままごとタイプ:人の世話場の雰囲気をよくするのが好き。 カウンセラー・ヒーラーなどが向く。
本来のゲームタイプかどうかを見分けるのは難しい。 人間に対して向くタイプと非人間に対して向くタイプがある。数学でその判断をするわけではない。 話は飛ぶが 数学はやれるようになる年齢がある。 古山さんの甥御さんは ホームスクールで育った。いろいろやってみて スケボーにはまっていた。はまるものを年単位でやった。物理が面白いということになったが 17歳ごろになってやっと数学をするようになった。理系の大学に行き今はエンジニアになっている。
学校に戻るか戻らないかは千差万別。 芸術系は学校をメインにしないほうが良い。学校はほっといたらやらないことをやらせるところ。学校の勉強を家でやってくれたらもうけものである。高校は今通信制もある。 行かなければと思っていったところでその子にとって必要なものを手に入れられるかどうかの問題がある。18歳で 最終学歴がその子にとって良いものであるようになれればよい。高校卒業認定が取れるというのが最後のライン。高卒認定は 結構数週間の勉強でとれる、学科ごとにとれる。高卒認定が取れない場合でも安い通信制の高校に入るということもよい。 一科目いくらで入れる。一回受験し追試がある追試は前回の勉強をしていると大抵通る。
例えば中学1年生の場合、 葛藤していることも大切。学校に行けないことも本人はつらいし、学校に行かなければならないこともわかっている。どちらでも賛成してあげるのが良い。 朝起きられないとき、学校にいかなくてもよい。 どうしてよいかはわからないものである。 本人の出方を見て休むでも生かせるのでも良い。うまく適応できるかへたり込むかわかってくる。
例えば小4の人が叱られていると自分のことのように思ってしまう子の場合。この子は道徳意識が高い。 自然の中に連れて行って 友人ができるかどうか、雑木林や小川などなんでもよい。プレイリーダーが良いかもしれない。 人付き合いが口のようだというのは口で伝えられない。 おにごっこなどで 人に捕まえられて手が温かいなとかやさしいなとか、そういうことから学ぶのかよい。
充分に休ませるのは本当に難しい。三ヵ月間学校のことはなしにしてしまうのが難しい 
どの学年のこでも自然の中に連れ出すのは良い。 スポーツさせる、手を使う工作など。第三者の言葉が本人に響くことが起きるかもしれない。 その子にしゃべらせて、 何も押し付けていないということが分かったようだったら、歴史の話などしてみたりする。 人格的関係が築ける大人が必要である。


今回はちょっと長めでしたね!
学校に行けない子多くなったようです。
わたしも一時期学校に行けなかったので、こういう会、その時あったらな と思いました。電気のブレーカーが落ちたような状態、良く休ませることが必要ということが大切と強調されていました。親の立場は反対で、行かせたいという気持ちになってしまいますものね!ただ、私の経験から、怒られたり叩かれたりしても行ける気持ちは全く出てこないです。「北風と太陽」の物語に似ています。もし自分のお子さんがそうなったらこれを参考にしてみてもらえませんか?